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源氏無情の剣

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源氏無情の剣源氏無情の剣
(げんじむじょうのけん)
火坂雅志
(ひさかまさし)
[源平]
★★★★☆

『源氏無情剣』(1997、青樹社刊)改題。清和源氏一族の宿命を描く異色時代小説。

なぜ、源氏が武家の棟梁と呼ばれるのか? その成り立ちだけでなく、一族に脈々と流れる熱き武士(もののふ)の血がその証しだろうか? ロマンを感じさせる短編集である。
鎮西八郎為朝や二代将軍頼家といったおなじみの人物から、源三位の頼政や新羅三郎義光などの名前だけは知っている人物、丹鶴姫や山本義経らこの作品集で初めて知った人物まで、興味深い源氏一族が次々と登場し、伝奇的手法で描かれていくのが面白い。

物語●
「心なき者」源頼義の三男義光は新羅明神にちなんで“新羅三郎”と名付けられたが、その名号に不満をもっていた…。
「にせの義親」西国の官物を押領し、暴虐をはたらき、平正盛に討ち取られた謀反人源義親の首が春の都大路をゆく…。
「為朝島渡り」源氏の棟梁、源義朝は、十六歳下の弟、鎮西八郎為朝の勝って気ままぶりを苦々しく思っていた…。
「鵺」仁平年間、天皇は夜な夜なあらわれる鵺の鳴き声に悩まされ、重い病の床についていた。比叡山の高僧の加持祈祷は何の効験もなく、鵺の脅威はゆゆしきものとなっていた。その変化の噂を兵庫頭源頼政は、ばかばかしく思っていた…。
「熊野の美姫」以仁王の令旨を持って参戦した新宮十郎行家は、破れて熊野新宮にもどり、姉の丹鶴姫(たんかくひめ)に慰められた…。
「もうひとりの義経」近江の山本冠者義経は鎌倉の地に愛妾の白拍子の千鳥とやってきた…。
「人穴」二代将軍源頼家は、御家人の仁田四郎忠常に、富士裾野の洞窟探検をさせた…。
「幻の将軍」平賀朝雅は、美しい義母の牧ノ方にあれこれと世話を焼かれてまいっていた…。
「独眼法印」高野山の僧侶貞暁のもとに、鎌倉からの使者として大山山伏の娘がやってきた…。
目次■心なき者|にせの義親|為朝島渡り|鵺|熊野の美姫|もうひとりの義経|人穴|幻の将軍|独眼法印|あとがき|解説・細谷正充

カバー画:柳澤達朗
カバーデザイン:中原達治
解説:細谷正充
時代:「心なき者」延久四年、「にせの義親」天仁元年、「為朝島渡り」久寿二年、「鵺」仁平年間、「熊野の美姫」永暦元年、「もうひとりの義経」治承四年、「人穴」建仁三年、「幻の将軍」建仁三年、「独眼法印」建保六年。
場所:「心なき者」三井寺園城寺、「にせの義親」伯耆大山山中、「為朝島渡り」七条、「鵺」五条天神社、「熊野の美姫」熊野新宮、「もうひとりの義経」鎌倉、「人穴」富士裾野ほか
(祥伝社文庫・619円・01/05/20第1刷・389P)
購入日:01/05/12
読破日:01/07/05

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