湯屋のお助け人 待宵の芒舟


湯屋のお助け人 待宵の芒舟
(ゆやのおたすけにん まちよいのすすきぶね)
千野隆司
(ちのたかし)
[捕物]
★★★★☆

文庫書き下ろし。

直心影流の遣い手で、旗本の次男坊ながら、訳あって夢の湯の居候となる大曽根三樹之助が活躍する「湯屋のお助け人」シリーズの第四作め。

今回の見所は、捕物で忙しくしている源兵衛に代わり、夢の湯を切り盛りしている娘のお久の過去が明らかになるところ。三年前に版木職人だった夫を亡くし、二人の子(おナツと冬太郎)を連れて実家の夢の湯に戻ったお久。そのお久の前に九年ぶりに、かつて恋仲で、夫の弟弟子だった竹造が姿を見せるところから物語は始まる。

一方、三樹之助の縁談相手の志保は、夢の湯の子どもたち(おナツと冬太郎)を道灌山の別邸に虫聞きに招く。三樹之助と志保の距離が少し近づく予感があり、物語は佳境に近づく。

タイトルの「待宵」とは、十五夜の満月の前夜の月をいう「待宵(まつよい)の月」から。江戸時代、月がより身近な存在であり、人々の生活に密着していたことがわかる。

主な登場人物
大曽根三樹之助:七百石の旗本で御納戸頭を務める、大曽根左近の次男坊。本所亀沢町の直心影流団野道場で免許皆伝を許された腕前
大曽根一学:三樹之助の兄
源兵衛:岡っ引きで、湯島切通町の湯屋「夢の湯」の主人
お久:源兵衛の一人娘
おナツ:お久の娘
冬太郎:おナツの弟
五平:夢の湯の番頭
米吉:夢の湯の男衆
為造:夢の湯の釜焚き
志保:二千石の旗本酒井織部の娘
お半:志保付きの侍女
太左衛門:上野広小路の仏具商川角屋の主人
お槙:太左衛門の女房
おろく:太左衛門の妾
前園畝次郎:太左衛門の用心棒
卯之助:川角屋の番頭
八十兵衛:四谷の瓦版屋兎屋
定吉:八十兵衛の子分で瓦版売り
睦右衛門:湯島切通町の質屋大越屋の主人
お滝:睦右衛門の女房
およう:睦右衛門の娘
竹造:版木職人で、お久の亭主乙松の弟弟子
籠原鱒右衛門:籠原道場の道場主

物語●五十両の借用証文を残して、上野広小路の仏具商川角屋の主人太左衛門が失踪した。女房お槙の依頼で、捜索をはじめる源兵衛と三樹之助だった。そんなときに、源兵衛の娘で夢の湯を切り盛りするむお久とかつて恋仲だった版木職人の竹造が江戸に舞い戻ってきた。竹造は役者絵から抜け出してきたような整った顔立ちの男前だったが、どこかが崩れたようないまでは荒んだ雰囲気を漂わせていた…。

目次■第一章 消えた虫の音/第二章 追い出された女/第三章 引かれる心/第四章 彫られた似顔絵

カバーイラストレーション:田地川じゅん
カバーデザイン:重原隆
時代:明記されず
場所:小石川伝通院裏、上野広小路、湯島切通町、御箪笥町、根津宮永町、南大門町、神田明神下同朋町、本郷春木町、道灌山、池之端仲町、水戸徳川家上屋敷裏手、本所回向院、水道橋、寛永寺裏手、ほか
(双葉社・双葉文庫・581円・2011/11/13第1刷・262P)
入手日:2012/05/07
読破日:2012/05/10

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