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朱房の鷹 宝引の辰 捕者帳

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朱房の鷹 宝引の辰 捕者帳朱房の鷹 宝引の辰 捕者帳
(しゅぶさのたか・ほうびきのたつ・とりものちょう)
泡坂妻夫
(あわさかつまお)
[捕物]
★★★★☆

『鬼女の鱗』『自来也小町』に続く「宝引の辰 捕者帳」シリーズの第三弾。泡坂さんの本職である、上絵師の要素がもっとも現われた作品でもある。読んでいるうちに、家紋への興味がふつふつと湧いてきた。

本の表紙に、作者の手による角平市松と呼ばれる小紋がプリントされていた。赤と白の正方形の市松模様を眺めているうちに、ひし形が見えてきて、不思議な模様で、見ていて飽きない。作品のもつ、ちょっと不思議なテイストを象徴しているようにも思える。

物語●「朱房の鷹」神田千両町の宝引の辰親分は、一家で川崎大師へお参りに行った。その途中の川崎の宿で、鮎釣りの少年と出会う…。「笠秋草」神田鈴町の紫染屋では、誰もいない部屋で行灯の火が灯ったり、火鉢の中の炭がおこったりする怪現象が発生した…。「角平市松」辰の女房の柳が、流行の角平市松の着物を買った…。「この手かさね」噺家の可也屋文蛙は、噺家出身で糸屋の主人・一扇と吉原で遊んでいた…。「墓磨きの怪」江戸の町で、何者かによって寺の墓を磨かれるという事件が頻発した…。「天狗飛び」辰のひとり娘・景は、荏田で、馬の放屁を笑うものではないと、御幣担ぎの平八に注意される…。「にっころ河岸」畳屋の小僧勇次は、大名と会ったことがあった…。「面影蛍」蛍狩に出かけた辰は、乾物屋の主人から不思議な話を聞いた…。

目次■朱房の鷹|笠秋草|角平市松|この手かさね|墓磨きの怪|天狗飛び|にっころ河岸|面影蛍

装画:東啓三郎
装幀:坂田政則
表紙小紋:泡坂妻夫
時代:文久二年(1862)
場所:川崎、神田鈴町、日本橋馬喰町、神田眼鏡新道、田所町、荏田、向こう柳原、小日向水道町ほか
(文藝春秋・1,429円・99/04/20第1刷・263P)
購入日:99/04/17
読破日:99/05/30

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