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殺しはエレキテル 曇斎先生事件帳

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殺しはエレキテル 曇斎先生事件帳

(ころしはえれきてる・どんさいせんせいじけんちょう)

芦辺拓

(あしべたく)
[捕物]
★★★★

本格ミステリ畑の人で、初の捕物帳(時代小説)ということで、興味津々といったところ。

探偵役は、絲漢堂という蘭学の塾を開く、外科本道の医師・曇斎こと橋本宗吉。助手のワトソン役が田舎から出て来て寺子屋の代用師匠を務めることになる平田箕四郎。物語を掻き回す狂言回し的な役割を若き日の大塩平八郎が演じる。そしてヒロインが唐物屋・疋田蝙蝠堂の娘・真知といった役どころ。

あとがきを読むまでは、うかつにも橋本宗吉という蘭学者・科学者が実在の人であったということは知らなかった。芦辺さんのこのあとがきでは、古きNHK時代劇のことや、都筑道夫さんや満坂太郎さんのことにも触れられていて、ウルウルものである。

各話にオランダ語が盛り込まれていて、本格推理小説っぽいタイトル付けである。エレキテル(Electriciteit)は知っていたが、ドンクルカームル(donkerkamer)は暗室写真鏡、ゼオガラヒー(geografie)は地理学、ウニコール(Unicorn)は一角獣、リュクトシキップ(luchtschip)は空飛ぶ船、トーフルランターレン(Toverlantaarn)は幻灯機のこと。語感から、物語を想像するだけでワクワクしてくる。

物語●「殺しはエレキテル」寺子屋の師匠役を引き受けた若者・平田箕四郎は、大坂伏見町の唐物屋・疋田蝙蝠堂で、エレキテル(摩擦起電機)による実験を見た…。「幻はドンクルカームル」順慶町の盆屋(男女が密会する貸し座敷=ラブホテルのようなもの)で、別嬪の年増女が殺され、箕四郎の教え子の父親に嫌疑がかかった…。「闇夜のゼオガラヒー」長堀川の上流に浮ぶ、屋形船で、芸者と二人きりでいた西国某藩の蔵役人が何者かに矢で射殺された…。「木乃伊とウニコール」諸物産物廻船の商いをする匠屋のオランダ座敷で大藩の大坂詰め藩士が右手に拳銃を握った姿で死んでいた。胸には思いもかけないものが深々と貫かれていた…。「星空にリュクトシキップ」曇斎橋本宗吉先生と箕四郎は、木の上に陣取り、近松の世話浄瑠璃のさわりを語りながら、日本ではじめての実験をしていた…。「恋はトーフルランターレン」高津神社で、唐物商の娘・疋田屋真知が何者かにかどわかされた…。

目次■殺しはエレキテル|幻はドンクルカームル|闇夜のゼオガラヒー|木乃伊とウニコール|星空にリュクトシキップ|恋はトーフルランターレン|あとがき

カバーデザイン:唐沢なをき
カバーデザイン:泉沢光雄
時代:明記されていないが、文化八年ごろか
場所:大坂・伏見町、安堂寺町五丁目、浮世小路、順慶町、長堀川、住友の浜、長町裏、城代屋敷、高津神社ほか
(光文社カッパ・ノベルス・819円・03/12/20第1刷・261P)
購入日:04/01/02
読破日:04/02/26

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