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壬生義士伝 上・下

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壬生義士伝 上
壬生義士伝 上・下
(みぶぎしでん・じょうげ)
浅田次郎
(あさだじろう)
[新選組]
★★★★☆☆

構想二十年、著者初の時代小説は「新選組」もの。新選組の吉村貫一郎の生涯を描く感動巨編。やはり泣いてしまった。浅田さんのストーリーテラーぶりと、構成の巧みさに感嘆した。ズルイぐらいにうまい。

まず、主人公に吉村貫一郎(実在の人)を据えたことで成功の半分ぐらいを手に入れた感じだ。さらに、主人公のモノローグと、関係者への聞き書きを交互に交える凝った文体で、奥行きを加え、緊張感を高めていっている。新選組の生存者たちを取材して書いたという子母澤寛さんの新選組三部作が読みたくなった。

人としての出処進退や家族愛、生き方を考えさせられる作品。迷ったときや悩んだときに読むといい本かもしれない。

物語●慶応四年一月七日の夜更け、大坂の盛岡南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がただ一人たどり着いた。三日の夕刻に戦端を開いた鳥羽伏見の戦いで敗れ傷ついた新選組隊士・吉村貫一郎である。吉村は、かつて南部藩の大野次郎右衛門の組付足軽だったが、脱藩し、新選組に加わっていた。情勢が明らかになるまで、不関与の立場をとっていた南部藩の大坂蔵屋敷差配役は、皮肉なことに大野次郎右衛門だった。大野は、吉村の帰参を聞くと、「何を今さら、壬生浪めが」と吐き棄てるように言い、切腹を命じるのであった…。

目次■なし

題字:榊莫山
装丁:坂田政則
時代:慶応四年一月七日
場所:大坂北浜過書町、盛岡、雫石、西本願寺、壬生ほか
(文藝春秋・各1,524円・00/04/20第1刷・上390P、下373P)
購入日:00/04/29
読破日:00/07/02

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