「2017年7月の新刊 下」をアップ

天盆2017年7月21日から7月31日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2017年7月の新刊 下」を掲載しました。

今回は中公文庫に注目しています。

数学に情熱を傾ける少年少女たちを描く青春小説『青の数学』で注目される、王城夕紀(おうじょうゆうき)さん。そのデビュー作で、第10回C★NOVELS大賞特別賞(2014年)を受賞した、時代ファンタジー小説『天盆』が刊行されます。

小国「蓋」を動かすのは、国民的盤戯「天盆」を勝ち抜いた者。貧しい13人きょうだいの末っ子・凡天は、十歳の童ながら、異様な強さで難敵を倒していく。
家族の思いを背負い、歴史に挑む少年の神手が、国の運命を大きく変えることに……。


将棋に似た盤戯「天盆」の覇者が政を司る小国「蓋」を舞台に繰り広げられる壮大なストーリーと、将棋の藤井四段を想起させる、盤戯の天才少年の出現という設定に惹かれました。

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『天盆』
『青の数学』

→2017年7月の新刊 下


「2017年7月の新刊 中」をアップ

夜叉萬同心 もどり途2017年7月11日から7月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2017年7月の新刊 中」を掲載しました。

今回は光文社文庫に注目しています。

辻堂魁さんの『夜叉萬同心 もどり途』は、目的遂行のためには手段を選ばぬやり方から、「夜叉萬」と呼ばれ密かに恐れられている、北町奉行所の隠密廻り方同心、萬七蔵が活躍する、捕物シリーズです。

『冬かげろう』『冥途の別れ橋』『親子坂』『藍より出でて』と続くシリーズ第5作で、光文社に出版元を移してから初めての新作書下ろしです。
ベスト文庫から学研M文庫、そして光文社文庫と、レーベルは変わりましたが、「夜叉萬」に再会できるのがうれしいです。

犬飼六岐さんの『逢魔が山』は、戦国時代の四国を舞台に、雑兵に拉致された子供たちが、もののけが棲むという不吉な「逢魔が山」へ張り込んでいく、冒険譚。

上田秀人さんの『覚悟の紅 御広敷用人 大奥記録(十二)』は、御広敷用人の水城聡四郎が活躍するシリーズ最新作です。

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『夜叉萬同心 冬かげろう』第1作
『夜叉萬同心 冥途の別れ橋』第2作
『夜叉萬同心 親子坂』第3作
『夜叉萬同心 藍より出でて』第4作
『夜叉萬同心 もどり途』第5作
『逢魔が山』(犬飼六岐)
『覚悟の紅 御広敷用人 大奥記録(十二)』(上田秀人)

→2017年7月の新刊 中

「2017年7月の新刊 上」をアップ

女帝の密偵 雅や京ノ介2017年7月1日から7月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2017年7月の新刊 上」を掲載しました。

今回は徳間文庫に注目しています。

麻倉一矢さんの『女帝の密偵 雅や京ノ介』は、主人公がユニークで、設定もスケール感もある、魅力的な新シリーズの開幕です。

深川の町外れ、〈鬼灯長屋〉に、奇妙な看板がかかった。〈雅(みやび)や――よろず、みやびごと伝授〉。立花、茶の湯、書道、蹴鞠、和歌、源氏物語などを教えるというのだが、およそ裏長屋にはふさわしからぬ習い事。
この私塾を開いた浪人者・京ノ介は、女帝陛下の密命を帯びていた。京ノ介に襲いかかる朝廷転覆の策謀の裏には意外な黒幕が……。


伊東潤さんの『野望の憑依者』は、南北朝を代表するヒールの高師直を主人公にしたピカレスク小説です。

鈴木英治さんの新シリーズ第1作、『謀 明屋敷番秘録』や、かつての人気シリーズが再開となる、鳥羽亮さんの『新まろほし銀次捕物帳』など、食指の動く作品が刊行されます。

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『女帝の密偵 雅や京ノ介』(麻倉一矢)
『野望の憑依者』(伊東潤)
『謀 明屋敷番秘録』(鈴木英治)
『新まろほし銀次捕物帳』(鳥羽亮)

→2017年7月の新刊 上

ペット、縁談、幽霊騒ぎ…、今日も泣き虫先生は大忙し

手習い所 純情控帳 泣き虫先生、幽霊を退治する誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『手習い所 純情控帳 泣き虫先生、幽霊を退治する』が双葉文庫より刊行されました。
ちょっとしたことにすぐ感動して涙を見せることから、「泣き虫先生」と呼ばれる、手習い所の新米・師匠の三好小次郎が活躍する人情時代シリーズ第2作です。

本所石原町の「刀林寺」住職・諾庵に請われるまま手習い所「長楽堂」の先生になった小次郎。武士なのに涙もろくて、子供たちから「泣き虫先生」と呼ばれてすっかり人気者になった。
小次郎同様に、諾庵を頼り長崎から江戸へ上がってきて、寺の持ち物である小さな家を借りて住んでいる、動物専門の医者・お蘭。そのお蘭が虐待に遭って怪我をしている子犬を助けた。諾庵のかつての教え子であり、長楽堂に出入りをする南町奉行所同心・小山鉄五郎によると、本所、深川界隈では動物いじめが多いという。
そんな中で高価な飼い犬・狆の飼い主である、大店のおかみさんから愛犬がかどわかしに遭い、小次郎らが行方を追うことになった……。


一話完結の連作形式で、今巻では、ペットの虐待事件、長楽堂のマドンナであるお近の縁談話、子供たちのいじめと恐喝事件、幽霊騒ぎと、小次郎の周りで事件が次々と起こり、大忙しです。

小次郎は、持ち前の明晰な頭脳と洞察力で事件の真相に迫りますが、ユニークな武器は「涙」です。ちょっとしたことにすぐに感動して、涙を流すことで、事件の鍵を握る人物の心を動かし、解決の糸口となる言動を引き出します。

「塵劫記(じんこうき)なんかよりも、『商売往来』を教えて欲しいんだがな……」
 塵劫記は和算の書であり、商売往来は商人が使う言葉の読み書きと意味を教えるための書物である。
(『手習い所 純情控帳 泣き虫先生、幽霊を退治する』P.10より)


先生としては、『塵劫記』が一番得意で、子供たちは読み書きだけでなく、算術が必要と説きます。

本書の中で、一斗(約18リットル、十升)桶にいっぱい入った油を、七升と三升の枡を使って、一斗桶と七升枡に、それぞれ五升ずつ分けるにはどうするかという、『塵劫記』からの問題を子供たちに出題します。
「油分け算」と呼ばれるよく知られた和算の問題です。

ほかにどんな和算の問題を取り上げているのか興味を持ち、『塵劫記』が岩波文庫から出ていることを知り、入手することにしました。

小次郎の涙だけでなく、物語全編を通して、子供たちをはじめ登場人物たちのユーモラスなやり取りが楽しい人情時代シリーズです。

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『手習い所 純情控帳 泣き虫先生、江戸にあらわる』(第1作)
『手習い所 純情控帳 泣き虫先生、幽霊を退治する』(第2作)
『塵劫記』(吉田光由著・岩波文庫)


「2017年6月の新刊 下」をアップ

かたづの!2017年6月21日から6月30日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2017年6月の新刊 下」を掲載しました。

今月の集英社文庫が何とも楽しみです。

中島京子さんの『かたづの!』が遂に文庫化されます。

慶長五年(1600年)、角を一本しか持たない羚羊が、八戸南部氏20代当主である直政の妻・袮々と出会う。羚羊は彼女に惹かれ、両者は友情を育む。やがて羚羊は寿命で息を引き取ったものの意識は残り、祢々を手助けする一本の角――南部の秘宝・片角となる。
平穏な生活を襲った、城主である夫と幼い嫡男の不審死。その影には、叔父である 南部藩主・利直の謀略が絡んでいた……。


第28回柴田錬三郎賞、第4回歴史時代作家クラブ賞作品賞など、単行本として刊行された2014年に数々の賞を受賞。『小さいおうち』の作者が挑む初の時代小説です。

北方謙三さんの『岳飛伝 8 龍蟠の章』は、来るべき戦いを控えて平穏な日々が……。

『時代小説 ザ・ベスト2017』は、青山文平さん、植松三十里さん、谷津矢車さん、吉川永青さんら今、勢いのある時代小説家12人の短編を収録しています。

■Amazon.co.jp
『かたづの!』(中島京子)
『岳飛伝 8 龍蟠の章』(北方謙三)
『時代小説 ザ・ベスト2017』(日本文藝家協会)

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