外国との技術戦争に挑んだ、佐賀藩主鍋島直正を描く

植松三十里さんの長編歴史小説、『かちがらす 幕末を読みきった男』(小学館刊)を紹介します。 歴史的に評価の低い人物を取り上げて、その生涯を鮮やかに描き出す作品が多い著者が今回取り上げたのが、幕末に肥前佐賀藩を率いた佐賀藩主・鍋島直正(隠居後は閑叟と号す)です。 直正は、幕末維新をリードした薩長土肥の藩主ながら、政治の表舞台での雄藩による覇権争いに背を向けていたせいか、幕末時代小説や大河ドラマで大き…⇒続きを読む

さらわれたロシア公女を救え!宮沢賢治の冒険

鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし歴史冒険小説、『謎ニモマケズ 名探偵・宮沢賢治』が祥伝社文庫より刊行されました。 第6回角川春樹小説賞を受賞した『私が愛したサムライの娘』や『天の女王』など、国際色豊かな時代小説を書かれてきた著者が今回選んだ題材は、若き日の宮沢賢治を探偵役に据えた冒険小説です。 花巻の正教会で、宮沢賢治にロシア語を教えていたペトロフ司祭が殺された。現場で犯人を目撃…⇒続きを読む

「2018年4月の新刊 下」をアップ

2018年4月21日から4月30日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2018年4月の新刊 下」を掲載しました。 今回注目しているのは、角川文庫の新刊、井沢元彦さんの『友情無限』です。 現代の貨幣価値にして、じつに数百億円。黎明期の映画ビジネスで巨万の富を作り上げ、一切の見返りを求めることなく、その生涯をかけて「中国革命の父」に資金を提供し続けた日本人がいた! その男の名は、梅屋庄吉…⇒続きを読む

『信長の棺』から始まる「本能寺三部作」の加藤廣さん、死去

本能寺の変を新解釈で描いた、『信長の棺』で知られる時代小説家、加藤廣(かとうひろし)さんが、4月7日に循環器不全のため死去されました。享年87歳。 加藤さんは、東京生まれ。東大法学部卒業後、中小企業金融公庫(現日本政策金融公庫)、山一証券経済研究所顧問などを経て経営コンサルタントとして独立されました。 2005年、74歳のときに『信長の棺』で小説家デビュー。本能寺の変後に織田信長の遺骸が消えた歴史…⇒続きを読む

幕臣の家庭の安泰を守る、婚活の救世主、登場

辻井南青紀(つじいなおき)さんの時代小説、『結婚奉行』(新潮文庫・刊)を紹介します。 プロフィールによると、著者の辻井さんは、2000年に「無頭人」で朝日新人文学賞を受賞し、その後も純文学系の作品を発表してきた作家さん。2011年に刊行した『蠢く吉原』が時代小説第一作で、本書は時代小説の二作目になります。 六尺超の大男、桜井新十郎は泣く子も黙る火付盗賊改の同心……から「結婚奉行」配下となった。持参…⇒続きを読む