2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

ハマる時代小説10

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時代小説ベスト10 ハマる時代小説編

ハマる時代小説10なかなかベスト10を選ぶのは難しいもの。6位くらいまでは、すぐにランキングをつけられるのだが…。

私は、一人の作家にハマりやすい性質で、古くは、都筑道夫さん、小林信彦さん、ロバート・B・パーカーさん、志水辰夫さん、ジャック・ヒギンズさん、村上春樹さん、アーウィン・ショーさん…から狩野あざみさん、京極夏彦さんまで、次々にハマってきた。そのころは時代小説をまったく読んでいなかったが…。もちろん、時代小説でも。そんなわけで、久々のベスト10は、「ハマる」をテーマにやってみたい。

1位 『吉原御免状』 隆慶一郎

『吉原御免状』
一言でいえば、時代小説の最終兵器。
家康影武者説や天皇を中心とした史観、道々の輩など、とにかく考え方が新しい時代小説。そのうえ、むちゃくちゃ面白い。したがって、すぐに隆さんの作品を読み尽く(残念なことに故人である)してしまった。すると、そこに大きな喪失感が…。次に何を読んだらいいのか途方に暮れてしまうのだ。

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ハマったら●隆さんの全作品を読破しちゃおう。その方が精神衛生上いい。で、その後は…。

2位 『鬼平犯科帳』 池波正太郎

『鬼平犯科帳』
日本のフィルム・ノワール(60年代に流行ったフランスの犯罪映画)。
鬼平の魅力は人物設定のうまさ。アウトサイダーである、盗賊たちや密偵たちが、ちょっと暗く、おしゃれに描かれていて、知らず知らず引き込まれていく。異名と名前を合体させたネーミングも楽しく、しまいには、登場人物図鑑などを作って独り悦に入っていた。

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ハマったら●『仕掛人藤枝梅安』シリーズへ移行するのが楽。

3位 『御宿かわせみ』 平岩弓枝

『御宿かわせみ』
ホームドラマ型時代小説。
昔、TBSのホームドラマ(今は橋田寿賀子のようだが)でならした、平岩さんならではのシリーズ。訳あって一緒になれない、るいと東吾、二人の主人公をとりまく人情味豊かな脇役たちが、大川端の宿屋「かわせみ」を舞台に連作形式で活躍する。読んでいて、ほのぼのとしたり、せつなくなったり、ドラマを楽しむ醍醐味がある。

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ハマったら●とりあえず、『はやぶさ新八御用帳』を。

4位 『海狼伝』 白石一郎
『海狼伝』
海洋時代小説の名作。
周囲を海に囲まれた日本だが、海を舞台とした時代小説は多くない。江戸時代の鎖国が原因で、この間、造船術、航海術もすっかり衰えダイナミズムを失う、われわれにとって船が身近なものでなくなり、小説化するのが難しいせいだ。室町から江戸初期までが日本の大航海時代。白石さんの作品では、西日本の海賊や水軍、貿易商が多く描かれ、独自の世界をつくっている。

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ハマったら●陳舜臣さんの『戦国海商伝』か。北方謙三さんの『武王の門』も水軍が重要な役割を果たすのでゴキゲンだ。

5位 『闇の掟 公事宿事件書留帳』 澤田ふじ子
『闇の掟 公事宿事件書留帳』
京を舞台にした捕物帳。
多くの捕物帳が江戸を舞台にしているだけに、京が舞台というだけで、新鮮で味わい深いものがある。そのうえ、澤田さんは、京都在住で工芸関係に造詣が深く、その作品に奥行きを与えている。江戸とは、一味違う京の庶民たちの人情をきめ細かく描いた市井ものの傑作でもある。

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ハマッたら●『虹の橋』しかない。京に対する江戸、ということでは北原亞以子さんの『深川澪通り木戸番小屋』もおすすめ。

6位 『蝉しぐれ』 藤沢周平
『蝉しぐれ』
藤沢ワールドへようこそ。
1997年2月に死去した藤沢周平さんの名作。
いわゆる武家もので、海坂藩(うなさかはん。出羽の架空の藩)を舞台に、藩内の軋轢、派閥抗争を軸に人々の生死や対立、愛などを描いている。作家の井上ひさしさんもハマったようで、海坂藩の城下図を作って発表している。

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ハマッたら●藤沢作品を初めて読むなら武家ものの方がいい。はじめから、名人芸ともいえる市井ものを読むのはもったいないから。

7位 『武王の門』 北方謙三
『武王の門』
今、堂々と描かれる南北朝時代。
天皇観の問題で、戦前は南北朝時代を描くことはタブーのよう。そのため、南北朝時代は、激動の時代でドラマの素材には事欠かない割に、小説やドラマ化されることは少なかった。皇室の話題がワイドショーや女性週刊誌にバンバン書かれるようになった今なら、もっとたくさん作品が出てきてもいいのだが…。
北方さんという、ハードボイルド畑の新しい書き手を迎えて、南北朝という素材を得て、時代小説の再生という感じか。

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ハマッたら●原点である『私本太平記』(吉川英治)をどうぞ。

8位 『甲賀忍法帖』 山田風太郎
『甲賀忍法帖』
やっぱり、山田風太郎作品はいいなあ。
ぶっ飛んでいる。最初に読んだときの印象で、読んでいるうちにゾクゾクしてきた。伊賀と甲賀の忍者の代表が10人ずつ登場し、徳川次期将軍の後継の座を懸けて、忍法合戦をする、ウーンすごい設定だ。しかも、それぞれの忍者が駆使する得意技(忍法)が人間ばなれしている。肩の凝る本を読んだ後に、読むと効果バツグン。

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ハマッたら●この作品に対抗できるのは、『赤い影法師』(柴田錬三郎)でしょう。

9位 『真田太平記』 池波正太郎
『真田太平記』
かつてNHKでTVドラマ化され、長野県上田には記念館がある。歴史小説すれすれ。
私の場合、歴史小説のもつ閉塞感が苦手で、時代小説に傾斜しているわけだが、実のところ、その境界線は曖昧。
戦国時代ものでは、関ヶ原の合戦がヤマ場の一つになっているが、結果がわかっているだけにどういうアプローチでそこまで持っていくかがポイント。この作品では、草の者と呼ばれる忍者が大きな鍵を握っていて、エンターテインメント度を高めている。

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ハマッたら●隆慶一郎さんの『影武者徳川家康』。そして、司馬遼太郎さんは避けて通れないかなあ。

10位 『四十七人の刺客』 池宮彰一郎
『四十七人の刺客』
固定観念を打破する快感。
忠義といえば大石内蔵助、師走になれば赤穂浪士討ち入り、って感じで日本人の大好きな忠臣蔵。へそ曲がりな私としては、どこかに胡散臭さを感じていた。そんな思いをすっきりさせくれる作品。

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ハマッたら●森村誠一さんの『吉良忠臣蔵』や井沢元彦さんの『忠臣蔵 元禄十五年の反逆』を読もう。

本来ならば、9位の『真田太平記』の代わりに、司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』を入れたいところだが、司馬さんにハマると、歴史小説にハマりそうな危険性が大なので、あえて外してみた。

(注)初出のときのランクを変えていないが、時代小説の文庫書下ろしが全盛の今なら、佐伯泰英さんの『居眠り磐音』シリーズや、辻堂魁さんの『風の市兵衛』シリーズ、上田秀人さんの作品もベスト10に入れたいところ。

(初出1997/06/06、加筆修正2011/11/21)