『文蔵 2017.4』の特集は、高橋克彦「東北歴史小説」の世界

『文蔵 2017.4』『文蔵 2017.4』(PHP研究所・PHP文芸文庫)の特集は、待望の新刊『水壁』刊行記念! 高橋克彦「東北歴史小説」の世界 です。

『写楽殺人事件』や『緋い記憶』等現代小説のほか、「だましゑ」シリーズや「完四郎広目手控」など、時代ミステリーでの人気シリーズをもつ高橋克彦さん。

自身の故郷である、東北を舞台にした作品も少なくありません。
古代から近世まで、中央政府に搾取し差別されてきた、正史では語られることがなかった東北の民・蝦夷(えみし)の物語を創作のテーマにし、ライフワークとしてきました。。

高橋克彦さんの「東北歴史小説」としては、以下のような代表作があります。
特集では、文芸評論家の末國善己さんが、作品の世界をガイドします。

奈良時代の蝦夷の動向を追った『風の陣』
蝦夷の英雄阿弖流為(アテルイ)と征夷大将軍坂上田村麻呂の戦いを描いた『火怨(かえん)』
東北の民を「蝦夷」「俘囚(ふしゅう)」と侮る、京の朝廷に対して、反乱を起こした安倍貞任と、東北の地に黄金の楽土を築こうとした奥州藤原氏の興亡を描く『炎立つ(ほむらたつ)』
目前に迫る十万の豊臣秀吉軍に対して、わずか五千の兵で喧嘩を売った九戸政実(くのへまさざね)の戦いを描く『天を衝く(てんをつく)』

最新作の『水壁 アテルイを継ぐ男』は、平安時代(元慶二年・878年)に起きた蝦夷の反乱、元慶の乱(がんぎょうのらん)を描いています。
中央政権の容赦ない仕打ちに窮する東北の民を見かねて、アテルイ(阿弖流為)の血を引く若者が決起します。

 今になって「書く」と心が固まったのは、やはり私の年齢が大きい。これを書かずして終えては蝦夷の頑張りに対して申し訳が立たないという気がしたのだ。
(『文蔵 2017.4』P.8より)

高橋さんは、特別寄稿の中で、正史では脇に遠ざけられていて、史料がほとんどない状況下で、元慶の乱を採りあげて物語として書くのは無理と諦めていたという執筆時の心境を明らかにしています。

時代小説のファンとして、東北に思いを寄せる一人として、『水壁 アテルイを継ぐ男』を読んでみたいと強く思いました。

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『文蔵 2017.4』(PHP文芸文庫)
『水壁 アテルイを継ぐ男』(PHP文芸文庫)

『風の陣 [立志篇]』(PHP文庫)
『火怨 上 北の燿星アテルイ』(講談社文庫)
『炎立つ 壱 北の埋み火』(講談社文庫)
『天を衝く(1) 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実』(講談社文庫)

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