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大名行列の全部がわかる『大名行列の秘密』

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『大名行列の秘密』|安藤優一郎|NHK出版・生活人新書

大名行列の秘密歴史家の安藤優一郎さんの『大名行列の秘密』を読みました。成り立ちから末路まで大名行列の全部がわかる一冊。

大名行列と聞くと、「下に~、下に~」という掛け声や奴による毛槍のパフォーマンス、街道を旅人が土下座をして見送るイメージがあります。

でも実際は、正装してのパフォーマンスは江戸を出るときと、お国入りのときだけだったり、大名行列に遭遇したら土下座をしなければならないのは、御三家など徳川家に対してだけだったり、大名行列は江戸と国許の間の参勤交代より、江戸城登城の際の行列のほうが回数が多く一般的だったりと、「へぇ~」と感心する指摘があります。

将軍家の権威の象徴でもあった大名行列。幕末に向けて参勤交代が大幅に緩和され、将軍が京に上り、参勤交代や江戸城登城は行われなくなります。それは、江戸および街道の経済に打撃を与え、庶民の生活に悪い影響を与えます。幕末に将軍家が急激に求心力を失っていったことにつながっているように思えます。

大名行列がもたらす経済効果から、徳川幕府の隆盛と衰退をみていくのも面白いと思いました。ビジネスの観点からの考察があり、とっつきやすい、江戸のことがよくわかる本です。

■ 目次
はじめに
第一章 街道をゆく「動く城」
(1)殿様方の難行苦行
(2)人数も衣装も臨機応変
(3)漬物石からペットまで
第二章 十二泊十三日の長道中
(1)殿様のお立ち
(2)道中での泣き笑い
(3)大名たちの意地の張り合い
(4)ゴール前の舞台裏
第三章 花のお江戸は行列だらけ
(1)江戸城前は大騒ぎ
(2)将軍のお供でまた行列
(3)格付けされた殿様たち
第四章 行列ビジネスの裏表
(1)殿様通ればお金が落ちる
(2)藩財政は破綻寸前
(3)庶民からみた大名行列
第五章 幻となった大名行列
(1)参勤交代の形骸化
(2)江戸から大名が消えていく
(3)大名行列の末路
おわりに
参考文献

●データ

大名行列の秘密

安藤優一郎
NHK出版・生活人新書
第1刷:2010年3月10日発行
700円+税
205ページ

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『大名行列の秘密』(安藤優一郎・生活人新書)

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